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5/1/2005(1)の構造とはたらき その2
図表p16※まずは予告編
(1)の中の構造((1)小器官という 核とか,ミトコンドリアとかね)を調べるには, 「つくり」を見るには,前述のように顕微鏡を使ったけれど, 「はたらき」を調べるには,どうしよう?酵素: タンパク質の触媒のこと.生体内では,酵素を用いて代謝を行っている. でないと,37℃程度の低温度では,化学反応なんて起きるはずがないっす. 代謝: 生体での化学反応を総称して,代謝という.つまり,生命の化学反応である. 触媒: 自身は変化せずに,他の化学反応を助ける物質を,触媒という. 有名どころでは,酸素を発生させるときの二酸化マンガンが,触媒だ. 2H2O2 → 2H2O + O2 二酸化マンガンは,この反応を推し進めているだけで,自身は変化していない. 過酸化水素 水 酸素 以下,説明していこう
- (2)法で,(1)を粉々にして中身を取り出し,それを(3)機で分別して, それぞれの小器官の酵素を調べる
- 放射性(4)などの(4)を用いて,(1)内でのその流れを調べる
- (2)法(図表p16) 要するに, 【1】(1)を(5)(つまり粉砕器)で粉々にして,(1)の中身((1)小器官と いう)を取り出す 【2】それを(3)機で,同じ種類の小器官どうしに分別する 【3】で,それぞれの小器官の酵素を調べる まずは【1】
で,(5)で粉砕すると,(1)が粉砕されてこなごな,じゃないぞ,液中で 粉砕するから「どろどろ」になった液が得られるわけだ.懸濁液(けんだくえき)なんて 言う.懸濁とは,「どろどろの状態」のことだ. 【2】 で,この懸濁液を,(3)機にかけて,各小器官ごとに分別して取り出すんだ.
この装置が,(5)だ. つまり,ホモジナイズ(均質化)する機械だ.例えば牛乳の原乳は,牛乳分子(?)の粒の 大きさがそろっていないので,飲みにくかったり,沈殿したりする. それを(5)にかけて,牛乳の粒を粉砕して同じ大きさにして,飲みやすく 沈殿しにくくしたのが,あの伝統的な商品「●永ホモ牛乳」だ. もちろん,今の売ってる牛乳は,みなホモジナイズ処理をしているホモ牛乳だ. だから,(5)は,粉砕器にもなる.今回は粉砕器として使っているわけだ. 粉砕したい(1)の組織片をA点に入れ,モーターですり棒Bをかき回して(1)を粉砕する. また,A点には(1)の組織片と一緒に,ある液を入れる.液体を入れておかないときれいに 粉砕できないからだ.その液とは何か?水か?水じゃだめだ.浸透圧で,(1)小器官が 破裂してしまう(後述 (1)膜のはたらきで学ぶ).ここには等張液か,やや高張液を 入れる(このへんの専門用語も,後述する(1)膜のはたらきで学ぶ).なお,ショ糖の 水溶液でよいようだ.ショ糖は知っているね.一般用語で言うところの「砂糖」のこと だが,専門的にはショ糖と言う.英語読みではスクロース(サッカロース)という. 漢字で書きたいなら蔗糖だ. さらにこの液に,緩衝液を加えるとなおよい.緩衝液とは,pHが変化しない液のことだ. 化学的に作ることができる(有名なのは例えば,酢酸と酢酸ナトリウムの混合水溶液). 例えば,よく売ってるpH6.9タイプの緩衝液は,少しくらい塩酸を加えようが,少しくらい 水酸化ナトリウムを加えようが,pHが6.9から変化しない(どばっと入れたらさすがに無理だが) だってね,(1)を粉砕したときに,中にどんなものが入っているかは,わからない. (1)の中身が飛び出て,アルカリ性になってしまうかもしれないし,酸性になってしまう かもしれない. それにより,他の(1)小器官がダメージを受けてしまうかもしれない(基本的にタンパク質 は,酸に弱い アルカリにはもっと弱い だって溶けるし) そこで,緩衝液を入れて おけば,そういった不測の事態にも対応できるわけである. さらに,C点には氷水を入れておく.別に氷だけでもいいだろうって?氷水の方が接触面積を 稼げるから,よく冷えるんだ.つまり要するに,冷やしながら粉砕するんだ.なぜかって? (5)のモーターは,ものすごい高速で回転させる.模型モーターの比じゃないぞ. だから,(1)組織片とすり棒は,ぶつかりまくって,まさつですごい高温になってしまう. すると,(1)小器官は,熱でダメージをうけてしまう(タンパク質は,熱にも弱い). それを防ぐんだ. さらに,(1)小器官の1つであるリソソームには,消化酵素が入っている(後述するが, リソソーム役目は「(1)内消化」).この消化酵素がリソソームの袋が破れて漏れ出すと, 他の(1)小器官が全部溶けてしまう.それはまずいよな.そこで,万一消化酵素が漏れ だしても,低温にしておけば消化反応は起きないので,冷やした状態で粉砕するのである. ※え?pHとは何かって?「ぴーえっち」だよ.ドイツ語読みなら,「ぺーはー」だよ. 温泉とか行くと書いてあるでしょ. pHとは,液の酸性やアルカリ性の強さのことだよ. pH7が中性で,7より大きいとアルカリ性で,7より小さいと酸性. で,7より値が大きいほど,アルカリ性が強い.7より値が小さいほど,酸性が強い. 例えばさ,売ってるお酢は,だいたいpHが3くらい.小学校の実験に使う塩酸は,pHが1 くらいかな.水酸化ナトリウム水溶液は,12とか13とか.重そう水は9くらい.また,(3)機は,単に上澄みと沈殿を分離するだけではない.同じ沈殿でも, 重いもの,大きなものほど沈殿しやすく,軽いもの,小さなものほど沈殿しにくいのだ. ※「遠心力は,重さ×体積に比例する」んだ. で,重さ=体積×密度 なので, 「遠心力は,密度×(体積)2に比例する」 とも言える. 生体の密度はだいたい一定なので(だってほとんどが水と有機物だし), 「(1)小器官は,大きいものほど沈みやすい」と,言い切れるわけよ. ※え?ピサの斜塔の実験と矛盾するって?あはは.こだわるねえ. (3)は,水などの液体の中での操作なんだ.だから,液の粘性を考えないといけない. ピサの斜塔の実験だって,空気の粘性(まさつ)を考えたら,結果が異なるでしょ. 新聞紙1枚と,新聞紙1000枚の塊を同時に落としたら,1000枚塊が先に落ちるでしょ. これをうまく利用して,ゴミの分別のように,(1)小器官も分別して取り出すことが できる.→図表p16 はじめはゆっくりした回転数で(3)し,落ちやすい沈殿のみを取り出す. (回転数が遅いなら,遠心力は弱い 当たり前だ) で,残った上澄みを,少し速めの回転数で(3)し,次に落ちやすい沈殿を取り出す. で,残った上澄みを....(以下略) これを繰り返せば,落ちやすい(沈殿しやすい)順に(1)小器官を取り出せる. つまり,大きい(1)小器官から順ぐりに,分別して取り出せるわけだ. 図表p16 ・(図表には出ていないが,まずは超低速回転で,(1)壁などの(1)断片(ゴミ)を沈殿させて取り除く ・500g(=毎分1500回転)で10分 →核が沈殿 ・1500g(=毎分4500回転 模型モーターの空転程度)で10分 →葉緑体が沈殿 ・8000g(=毎分24000回転 歯医者さんのドリル程度)で10分 →ミトコンドリアが沈殿 ・100000g(=毎分30万回転 超遠心機でないと無理)で60分 →リボソームや小胞体が沈殿 ・それでも残った上澄みに,(1)質基質などが溶けている(図表の「可溶性物質」のこと) ※リボソームはとても小さいので,普通なら最後の「可溶性物質」に含まれてしまうところであるが,リボソームの多くは小胞体に くっついているので,小胞体と一緒に取り出される. 【3】 で,分別した(1)小器官を,調べる 主に,それぞれの小器官が持つ酵素のはたらきを 調べるわけだね. →図表p16の表を見て この表から,有気呼吸(酸素呼吸,好気呼吸)にはミトコンドリアが絡んでいることがわかる. さらに,有気呼吸の前段には,「解糖系」と呼ばれる無気呼吸反応段階が必要だが(図表p39-40), これはミトコンドリアではなく,(1)質基質が行っていることがわかる.
(3)機は,わかるよね.モーターでお釜(?)を回転させて,遠心力で沈殿と上澄みを 分離する機械だ. A点には,懸濁液を,均等な重さで入れないといけない.でないと,(3)機が回転 したときに,バランスがくずれて大変なことになってしまう.洗濯機の脱水機が, 洗濯物が偏ってがたがたぶるぶるするなんてレベルなんてもんじゃないぞ. なにせ(3)機は,1分あたり数万回転もするんだ.大事故だぞ.大事故. お釜(=鉄のかたまり)が飛ぶぞ. ※普通は安全装置がついているので,回らずに止まります. また,(3)機は,冷蔵庫と同じような冷却器がついている.冷やしながら回転 させるのだ.でないと,なにせ毎分数万回転もするんだ.お釜と空気がまさつを 起こして,まさつ熱で温度がどんどん上がっていってしまう.本当だ. で,(1)小器官が熱で(以下略) ※だから,毎分数十万回転もさせるような超遠心機では,とても冷蔵庫程度では まさつ熱に勝てないので,なんと真空中で回転させる.
- (4)の利用(図表p16) ヒトの体にとって重要なのは,タンパク質である.→図表p21 確かに,水も脂質も炭水化物も重要であるが,タンパク質はすごく重要なのである. ・タンパク質は,からだをつくる材料である: プロテイン,流行ったねえ. ・そしてそれ以上に重要なのは, 「体で作られるタンパク質の種類の半分は,酵素である」 ということだ. ヒトのからだを作っているタンパク質の種類は,5万種類とも,20万種類とも 言われている. で,そのうちの半分は,酵素なのだ. 酵素がなければ,代謝(=生命体の化学反応 前述)は起きない. つまり,生命を維持できない. だから,タンパク質はすごく重要なのである. ところで,そんな重要なタンパク質は, どのようにして体内で生成され,どのようにして体内を流れるのだろうか? それを調べるのに用いられるのが,(4)である. (4)については,中2で学んだね. 原子番号が同じで,質量数が異なる原子のこと.多くの原子(元素)には,(4)がある. →図表p16中右の表を見よ. 例: 窒素15は,
と書く.左上が質量数,左下が原子番号だ. 窒素の原子番号は必ず7なので,左下を省略し,
と書くことが多い. で,(4)の中には,放射線を出すものがある.これを,(6)(RI)と言う. Q. 【1】窒素の(4)は,2種類ある.それぞれの原子記号を書け(→図表p16中右の表) 【2】水素の(4)には,3種類ある.それぞれの原子記号を書け. また,そのうちで放射性(4)はどれか? 【3】図表p16中右の表にあるうちで,放射性(4)をすべて挙げ,原子記号を書け. (6)を含む物質は,放射線を出す.なので,写真を撮ると,その部分が黒く映る. これを利用して,物質の流れを知ることができないだろうか? →そこで,図表p16の中左「インスリン(インシュリン)の生成から分泌への道筋」 すい臓からは,インスリンが分泌される.インスリンとは,小さめのタンパク質である (正しくはペプチドホルモンの1種). タンパク質は,アミノ酸がたくさんつながってできている.すい臓の(1)内で,アミノ酸が連結され,インスリンとなって(1)外(すい臓外) へ分泌されるのだ. ※「分泌」とは,(1)外への輸送のことを言う インスリンは,(1)内でどのように作られ,どのように(1)外へと流れていくのだろうか? そこで,放射性(4)である
を含んだアミノ酸を,すい臓の(1)に与える. で,1分おきにこの(1)の写真をとりまくる(オートラジオグラフフィーという機械を使う) このアミノ酸は放射線を出すので,写真では,その部分が黒く映る. 写真をとりまくると,黒い部分はどのように移っていくだろうか... 3分後の写真:小胞体部分が黒くなる 20分後の写真:ゴルジ体部分が黒くなる 90分後の写真:(1)膜近辺が黒くなる つまり,アミノ酸は,小胞体→ゴルジ体→(1)膜と流れ,最後にインスリンと なって(1)膜外へ出ていくのだろう,ということがわかる. ※このような,(1)内から(1)外への物質の流れのことを,エキソサイトーシス という.これについては,後述する(1)小器官のはたらきのところでしっかり学ぶ. ※放射性(4)以外の(4)は,このような調査には使えないのか? →いえ,使えます.
を使う実験とかが有名だね(図表p50 ルーベンの実験). でも,
は放射線を出さないので,写真を撮っても黒くはならない. そこで,代わりに「質量分析器」というものを使う.ノーベル賞の田中さんの機械だね.