(改良型)水流モデル その1 電流と電圧


1.電圧は,圧力だと考えてはいけない!

電流(記号I 単位(A)):電気の流れ/電気の流れる量
読み:   あい   あんぺあ
英語:  Intensity(強さ) Ampere

電流が大きいほど,電気はいっぱい流れる.これは知ってるね.

電圧(記号V 単位(V)):電気を流す力/電気を流す力の大きさ
読み:   ぶい   ぼると
英語:  Voltage   Volt

電圧が大きいほど,電流は大きい  V大ほどI大
  電圧は,圧力みたいなもの

     ↓
     ↓ おっと,この電圧の定義は,間違っちゃいないけど,
     ↓ 電圧この定義では,電気回路は理解できないのさ.
     ↓
新解釈!
電圧とは,高さである.

もっと正確に言えば,電圧とは,(水流モデルの)高さの差(2点間の高さの差)である.

水流モデル1

よくある電球と電池の回路を,水流モデルで表してみた.
太い青線は,水を通すパイプ,電池は水を下から上へ汲み上げるポンプだ.

 A君「電池の電圧は1.5Vだよね.」
 B君「つまり,電池は1.5Vの高さの分,水を汲み上げる って,水流モデルでは考えるんだ.」

パイプには2種類あり,
電気製品(電球,モータ,スマホ,蛍光灯,冷蔵庫…)は,ななめパイプだ,電線は水平パイプだ.

 A君「つまり,電球の両端の電圧も1.5Vってこと?」
 B君「その通りだ.電圧は,2点間の高さの差だ.必ず2点間で測る.
    電池の両端の電圧が1.5Vだから,水流モデルから考えると,電球の両端の電圧も1.5Vだ.
 さて,それでは応用だ.PQ間の電圧は?」
 A君「電池の+側にあるんだから,1.5Vじゃ...あ,電圧は高さの差なのか.つまり,0V?」
 B君「その通り.PQ間の電圧は0Vだ.実際にPQ間に電圧計をつなぐと,0Vを示す.」
 A君「なんかピンとこないよ.電圧は圧力じゃないの?」
 B君「電圧が圧力だと思っているうちは,電気回路は絶対に理解できない.
    電圧は,2点間の高さの差だ.
圧力じゃなく,ポテンシャルっぽい概念なんだ.」
 A君「そういえば,電圧の英語はVoltageだね.Electric pressureじゃないよね,」
 B君「そう.日本語の電圧っていう言葉が,電気嫌いを大量に生んでるのさ」

(余談)
水流モデル1a T君「初めはこんな風にもっとパイプっぽく書いてたんだけど,
面倒くさくなっちゃってね.BSch3Vってソフトを使うことにした」
A君「それ以前に,2次元の水流モデルってしょぼくない?」



さて,水流モデルの細かいルールを確認しよう.

・水流モデルでは,電池は必ず+極を上にして縦にに書く.
これは,水を下(-極)から上(+極)へ汲み上げる役目を考えれば,当然だよね.
回路図では,電池はもちろん,横向きでも縦向きでもどっちでもよい.

よこ電池 B君「試しに水流モデルの電池を横に寝かせてみたけど…
電池がポンプの役目をしてないよね」
A君「縦のパイプがわけわかんないよ」


・回路図でも水流モデルでも,電流の矢印は,流れる向きに書くけれど,
電圧の矢印は,(電気的に)電池の+極に近い方を+にする っていうルールがある.

水流モデル1

 A君「そういう意味では,電流の矢印と電圧の矢印は,必ずしも同じ向きにはならないんだね.」
 B君「まあ変な感じはするかもな.
 なぜ電圧はこんなルールなのかって?このルールを守れば,水流モデルでの電圧の矢印は必ず上向きになるのだ.」

・電池の高さは決まっている.
 A君「つまり,電池の電圧は決まってるってことだね.1.5Vだよね.」
 B君「アルカリ乾電池なら1.5Vだね.エネ○ープのようなニッケル水素電池は1.2Vだ.」
 A君「え?みんな1.5Vじゃないの?」
 B君「今はあまり使われないマンガン乾電池は1.5V,スマホのリチウムイオン電池は3.7V,
    CR2032のようなコイン型リチウム電池は3V,鉛バッテリーは1セルあたり2Vなどなど.電池の電圧は種類により決まっている.」

いろいろな電池

A君「水流モデルの電池の高さは,電池の電圧に比例するように書かないといけないわけか.」
B君「本来はそうだね.まあ実際には雑に書いてるけど.」

2.電流とななめパイプ

電気製品はすべて,(水流モデルでの)ななめパイプだ.
電動ひげそりも,テレビも,電球もモーターもLEDも,すべて,ななめパイプだ.

ななめパイプの特徴

1.電流が大きいほど,パイプは大きく傾く.
逆も真だ.パイプが大きく傾いてるなら,電流は大きいってことだ.

電流が流れていないなら,ななめパイプは水平になる.

ななめパイプ

2.パイプの長さは電気製品により決まっていて,変化しない.
傾向としては,
  明るい電球ほど,パイプは短い. ※上の図がもし電球なら,aの方がbより明るい電球だ.
  強力なモータほど,パイプは短い.
  電気を食う電気製品ほど,パイプは短い.

ななめパイプと電球の明るさ

電池の高さが決まっているので, 明るい電球(図のa 短い)は暗い電球(図のb 長い)よりも
ななめパイプの傾き=電流が大きくなり,明るくなるのだ.


プロの方々へ(よいこは見てはいけませんよ)

1.先に種明かしをしますと,
ななめパイプの長さは,抵抗Rに相当します.電圧Vは高さ,電流Iはsinθ(0~90°なら単調増加ですよね),
要するに,直角三角形の斜辺と垂辺の式V=Rsinθが,オームの法則V=RIに相当する,と考えるのが,この改良型水流モデルのポイントです.
水流モデルとRその1 水流モデルとRその2
この方法なら,直列抵抗での分圧が直角三角形の相似で説明できるなど,いろいろビジュアルでイメージがしやすくなります.
水流モデルとRその3
2つの抵抗に流れるIが同じだから,θも同じ.だから2つの直角三角形は相似ですよね.つまり,V1:V2=300:450になる.これが分圧.

あと,オームの法則のVは抵抗の両端の電圧であり,電池の電圧とは関係がないってことも,ビジュアルで理解ができます.
いろいろなミスリードを起こさないようにするのが,改良型水流モデルの目標です.

あと,電気回路の世界では,抵抗は電流を制限する部品として扱うことはほとんどなく,ほとんどが,電圧(降下)をつくりだす部品として,扱っていると思います.
Rが大きい(ななめパイプが長い)方が,R両端の電圧は発生しやすい.そういうイメージも持ってもらいたいというのも趣旨の1つです.
電気回路をイメージで理解するには,「Rは電流制限の部品だ」というイメージからは脱却してほしいなと.

2.プロの方々なら,ほとんどの電気製品や電子部品で,抵抗Rは一定じゃない(つまり,ななめパイプの長さは一定じゃない)ってことは,ご存じかと思います.
Rが一定なのは,中学生の実験で使うセメント抵抗とか電熱線とか,くらいですよね.
そのへんは,中学生用ですし,空気読んでくださいませ.えへ.


一方,
電線は水平パイプだ.この特徴は,ななめパイプとはまったく反対で,

水平パイプの特徴
 1.電流が大きくても小さくても,水平なままだ.
 2.長さは自在に変えられる.


さて,
電球bについて,電池2個直列と,電池2個並列の水流モデルを見てみよう.
回路図は省略したけど,わかるよね.

電池直列と並列

電池2個直列の場合,電池の高さは2倍で3V,そしてななめパイプの長さbは変わらないので,
ななめパイプの角度は急になる=電流が大きくなる.だから,電池1個のときよりも電球bは明るくなる.

プロの方々へ:つっこみたいことはわかりますが,それは次章で.

電池2個並列の場合は,図のように,ななめパイプの角度は電池1個のときと変わらない=電流も変わらない=電球bの明るさも電池1個のときと変わらない.
A君「ただ,電池が汲み上げる電気は半分になる(電流が半分になる)ので,電池は長持ちするね.」

(余談)
A君「これ,電球aで,電池2個直列でやったら,ななめパイプaの長さが足りないよね.どうするのさ.」
B君「水流モデルはしょせんモデルだ.限界があるんだよ.スルーしてくれ.」
A君「えー」

プロの方々へ:sinθが1を超えちゃったってことですね.まあスルーで.

3.電球の明るさ,電球直列と並列

A君「電球の明るさはよくワット(W)で表すよね.100W電球は40W電球より明るいとかね.」
B君「昔は,無駄なもののたとえで「トイレの100W」とかいう表現もあったけれど,個人的にはトイレは明るい方がいいな.」
T君「トイレや風呂は,100Wタイプのような明るすぎる電球は定格オーバーやサイズオーバーでつけられない場合も多いです.やるなら,ちゃんと電気に詳しい方に確認をしましょう.」

さて,これを電力というのだ.電力の記号はP 単位はW  ※Electric PowerのPだね
                    ぴー    わっと

  電力 = 電圧 × 電流      公式で書くなら,P=VI
  (W)   (V)   (A)

電球の明るさは,電力で決まる.つまり,電圧×電流で決まるのだ.
電流だけで決まるのではない.電圧も関係してるのだ.

B君「だから,前章の電池2個直列の水流モデルを見てごらん.ななめパイプの角度が急(=電流大)なだけでなく,ななめパイプの両端の高さの差も2倍(=電球の両端の電圧が2倍)なので,
明るさは電池1個のときの2倍どころか,もっと大きくなるんだよ.」
A君「確かに,電池2個直列だと,電池1個のときよりも,電球はすごく輝くし,モーターはすっげーよく回るよね.」

プロの方々へ:今回は,電力と明るさが比例するっていう前提で説明をしています.発熱や赤外線を無視するのか!とか些細なことは,中学生用なので,スルーしてね.

それでは,電池ではなく,電球の直列並列を見てみよう.
※前提として,電球aは電球bよりも明るい電球(ななめパイプが短い) とするよ.

まずは簡単な,電球2個並列から.

電球2個並列

それぞれの電球の明るさは,電池1個のときの明るさと同じだよね.
なぜなら,↑電池1個のときの図を見てごらん(どのへんにあったかな).
ななめパイプの両端の高さの差(=電球の両端の電圧)が,電池1個のときと同じ1.5Vだし,
ななめパイプの傾き(=電流I1,I2)も,電池1個の時とそれぞれ同じでしょ.

で,傾き角から,I1>I2.だから電球aの方が電球bよりも明るい.まあ,電池1個の時と明るさが同じだしね.

さてここで,まとめよう.

電球並列では,
  電圧はどちらも同じ
  電流は足し算    I1+I2=I

まあ,わかるよね.
でね,
電球直列では,これが逆転するのだ...要するに,電流はどちらも同じ,電圧は足し算, になるわけよ.

電球2個並列
電球直列では,
  電流はどこも同じ
  電圧は足し算    V1+V2=V

A君「なんか,ななめパイプの長さがaもbも↑のより短くない?」
B君「だって画面からはみ出ちゃうからさ,横に縮小したのさ.」
A君「あと,「どちらも」を「どこも」に,しれっと変えてるよ!」
B君「似たようなもんでしょ.直列なんだから電流はどこも同じじゃん.だから,2つの電球どちらも電流は同じ.」

A君「たとえば,V=1.5Vで,V1=0.45Vだったら,V2=1.05Vになるってこと?」
B君「その通りだ.」

2つのななめパイプは,流れる電流が同じなので,傾き角が同じ.
つまり,ななめパイプの長さから,V1<V2であることが図からわかる.
で,Iは同じなので,つまり,電球aの方が電球bよりも暗くなる.

A君「電球を直列につなぐと,明るさが逆転するってこと?」
B君「その通りだ.直列つなぎをすると,ふだん明るい電球の方が暗くなり,ふだん暗い電球の方が明るくなる.」


4.ここで問題演習

いくつかの問題を解いてみよう.

問1

問1

(1)①~⑨の電流や電圧を答えよ.単位もつけてね.
     ※どれが電流で,どれが電圧かは,わかるよね.
(2)電球P,Q,S,Tそれぞれの消費電力を求めよ.
(3)電球P,Q,S,Tを,明るい順に並べよ.

    ※電力を使えば,回路が別々であっても,明るさの比較ができるんだよ.

答はここをクリック

(1)①:0.2A ②:0.3A ③:0.3A ④:0.5A ⑤:1.4V ⑥:1.4V ⑦:0.2A ⑧:0.2A ⑨:1.1V
(2)P:0.28W Q:0.42W S:0.22W T:0.1W
(3)Q>P>S>T

問2

問2

(1)①~③の電流や電圧を答えよ.
(2)電球U,X,Yそれぞれの消費電力を求めよ.
(3)電球U,X,Yを,明るい順に並べよ.

答はここをクリック

問2答

(1)①:0.2A ②:1V ③:2V
(2)U:0.5W X:0.6W Y:0.4W
(3)X>U>Y

問3

次の回路で,2つある電球Bは同じもの(ななめパイプの長さが同じ),3つある電球Cもみな同じもの(同)である.
問1

①~⑤の電流や電圧を答えよ.

答はここをクリック

それでは,解ける順にやっていきましょう.
まず,③=0.3A なぜなら,上の電球Cの両端が1.8Vなので,下の電球Cの両端も1.8V
で,ななめパイプの長さが上も下も同じなので,電流(=傾き角)も同じ.

となると,①=0.6A,②=0.2Aとなる.
で,④+1.8V=3Vなので,④=1.2V
⑤=0.6Vだね.なぜなら,2つの電球Bのななめパイプの長さが2つとも同じで,電流(=傾き角)も同じだから.

ポイントは,④は1.8Vではないってとこだね.同じ種類の電球であっても,電圧や電流が同じとは限らないよ.ななめパイプの長さが同じなだけだ.


5.電流は1点で測る.電圧は2点間を測る.

PQ

たとえば上の回路で,P点の電流IPを測りたいなと思ったら,P点に電流計を入れればよい.
P電流

たとえば,PQ間の電圧VPQを測りたいなと思ったら,PQ間に電圧計を入れればよい.
PQ電圧

 A君「電流計は回路に直列に入れる,とか,電圧計は回路に並列に入れる,とか習うけどさ,
    電流は1点を測るから,電流計が直列つなぎなのは当たり前だし,
    電圧は2点間を測るから,電圧計が並列つなぎなのは当たり前なんだね.」
 B君「2点間の電流とか,1点の電圧とか,は,無いのだ.
    たとえば,PQ間の電流IPQとか,おかしいでしょ.
    P点の電圧VPとか,そんなものは無いんだよ.」

プロの方々の世界では,P点の電圧VP という言い方をすることは,よくあります.
この場合は,「P点と電池の-極との間の電圧」という意味です.あくまでも2点間の電圧なのです.
業界のルールで,「1点での電圧は,電池の-極(GND)との間の電圧のことを指す」と決まっているのです
(高校物理の電気回路では「電位」と呼ばれるものですね.業界ではこれも「電圧」と呼びます).
今回は学校なので,そういうプロルールは考えないことにします.

電流計 電圧計

A君「左側が直流電流計,右側が直流電圧計だね.」
B君「赤い端子が+端子,黒い端子が-端子だ.-端子が3つあるのは,レンジを選ぶためだよね.
   電流計電圧計の使い方は,中学校で習うので省略するよ.」
A君「この写真では,赤い端子が右側だね.↑の回路図は+端子が左側にあるのに.」
B君「そのへんは電線つなぐときに気をつければいいだけだよ~ 物理的な右左なんて,些細なことじゃないか」

B君「で,電流計も電圧計も,+端子(赤端子)は,(電気的に)電池の+極に近い方につなぐのだ.」
A君「計器に電流が入ってくる側が+端子(赤端子)ってことだね.」
B君「とりあえずはその理解で構わない.まあ電圧計の場合は,電圧計にはマイクロアンペアレベルしか電流が流れないけどね.」
A君「電圧計をつなぐことで回路の電流に変化があってはいけないから,当然だよね.」


(ついでに余談)
B君「P点の電圧VPを測ろうとするために,P点に直列に電圧計をつないだとしよう.」
A君「え?電圧計は直列つなぎしちゃいけないんじゃないの?」

P電圧
B君「電圧計には,電流がマイクロアンペアレベルしか流れない
(専門用語では「電圧計は内部抵抗が大きい」と言うね)ので,
電球は光らない.」
A君「電圧計が壊れることはないけれど,意味のない実験に
なってしまうわけだね.」

B君「一方,PQ間の電流IPQを測ろうとするために,PQ間に並列に電流計をつないだとしよう.」
A君「電流計を並列つなぎ?それはダメーーー!!」

P電圧
B君「電流計は電線と同じなので,電池をショートする回路ができあがってしまう.
   電流計に大電流が流れて,電流計は壊れる.」
A君「ダメ。ゼッタイ。」

 

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